みなさん、こんにちは。みなとです。
前回の記事では、配当性向(当期純利益のうち、株主に配当金として還元された割合)が80%以下の企業のなかから10銘柄を選んでポートフォリオ組みました。
ここで疑問が浮かびました。
「もし配当性向が80%より大きい企業を対象にしたら、初期投資に対する利回りはどうなるんだろうか?」
高配当投資に関する書籍では、「配当性向が高すぎる銘柄には投資してはいけない」という指摘がよくなされます。それは、配当性向が高すぎると業績悪化時に減配したり配当なしとなったりする傾向があるためです。そこで、高配当を狙う投資家は配当性向が高すぎる銘柄を避けるべきとされています。以下の複数の書籍でも、共通して同じことが指摘されています。
今回の分析対象企業の中で、2015年3月期に配当性向が80%をこえていた銘柄は54ありました。この54銘柄について、ランダムに10銘柄を選択し6年後の2021年3月末まで保有。初期投資に対する利回り(YOI)がどうなるのかを、1,000個のポートフォリオを作成して検証します。
比較対象に、利回り3.5%以上・増配率7%以上・配当性向80%以下の銘柄から構成される高配当&増配ポートフォリオのリターンについても示します(前回記事の検証②と同じものです)。
配当性向が高すぎる銘柄は、その後の配当からのリターンが振るわないのでしょうか?検証してみたのが次の結果です。
青いヒストグラムが配当性向80%をこえる銘柄で組んだポートフォリオの運用結果です。1,000個のポートフォリオについて、初期投資に対する6年後の利回り平均は2.4%(グラフ中の青い縦線)。大半のポートフォリオは利回り4.0%に届きません。
赤いヒストグラムが高配当・増配ポートフォリオの結果ですが、こちらの利回り平均は4.1%(グラフ中の赤い縦線)。全体的に青のヒストグラムよりも利回りが高いのは一目瞭然です。
やはり配当性向が高すぎると、その後の配当からのリターンは振るわないようです。定説通り、増配が難しく、場合によっては減配もあるからでしょう。そのため配当は成長せず、配当成長株で組んだポートフォリオに対してリターンが劣る結果となったと考えられます。
なお、分析対象のデータ、検証の方法については前回の記事を参照してください。
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