みなさん、こんにちは。みなとです。
以前の記事で、配当成長株投資の利益の源泉のひとつは増配であることを解説しました。
今回は、配当成長株投資のもうひとつの利益の源泉を解説します。それはすなわち、配当の再投資です。
配当を再投資することで、再投資した金額がまた配当を生み出します。そこから生まれた配当をまた再投資することでさらに配当が生まれ…と、加速度的に配当額が増えていくことが期待できます。
配当再投資の効果については、様々な書籍で説明されています。例えば以下の書籍には、配当再投資の効果が詳しく説明されています。
ただ、細かい計算までは載っていないことも多い(例外:『日本人が知らない秘密の収入源:「年100回配当」投資術』。この本はおススメです)。今回は細かい計算までやってみようと思います。
配当成長株の利益の源泉:配当の再投資
株価2,000円、配当額60円で利回り3%の株式を100株購入したとしましょう。配当成長率は15%とします。
ここで、毎年得られる配当金を、再投資します。計算を簡単にするために、配当金が増えると株価もそれに合わせて高くなり、新規に購入した株式の配当利回りは常に3%になると仮定します(一方、初期投資の配当利回りは増配によってどんどん高くなる)。また、税金は考慮しません。
1年目は60円/株×100株=6,000円配当がもらえるので、全額再投資します。
この新規投資分6,000円が2年目に3%の利回りで180円を生みます。
また、初期投資である2,000円/株×100株=200,000円が、2年目には3%×(1+0.15)=3.45%の配当を生むので(成長率15%で増配)、6,900円の配当がもらえます。
つまり、2年目は初期投資からの配当6,900円に再投資からの配当180円を加えた、7,080円が配当の合計額です。この全額をさらに再投資に回します。
この手順を5年、10年、15年、20年と繰り返していくとどうなるか。
それではいつものように、シミュレーションで配当再投資のチカラを見てみましょう。
配当再投資のシミュレーション(当初利回り3%、配当成長率15%)
項目 | 1年目 | 5年目 | 10年目 | 15年目 | 20年目 |
年始投資額 | 200,000 | 231,293 | 314,515 | 504,908 | 740,481 |
配当金/再投資額 | 6,000 | 11,633 | 26,613 | 60,884 | 139,287 |
YOI | 3.0% | 5.8% | 13.3% | 30.4% | 69.6% |
配当金累計額 | 6,000 | 42,926 | 141,128 | 365,792 | 879,768 |
配当金累計リターン | 3.0% | 21.5% | 70.6% | 182.9% | 439.9% |
毎年配当金が増えるため、5年、10年…と時間がたつにつれて再投資できる金額が加速度的に増えていますね。その再投資がさらに配当を生み出すため、長期で持つほど配当金が大きくなっています。5年後の配当金は11,633円ですが、10年後は26,613円、20年後になると139,287円まで増加します。
初期投資に対する利回り(YOI)を計算すると、5年後は5.8%に過ぎないですが、10年後には13.3%、20年後にはなんと69.6%にまで増加しています!配当金累計リターン(配当金累計額÷初期投資額)も、20年目には約440%となっており、これは配当金だけで当初の投資額の4.4倍もの金額を稼いだということです。
以前の記事では再投資をせずに配当成長だけで得られるリターン(YOI)を計算しました。今回の条件(配当成長率15%)に調整したうえで、再投資なしと再投資ありのYOIを比較すると、以下のようになります。
再投資なしYOIと再投資ありYOIの比較(当初利回り3%、配当成長率15%)
項目 | 1年目 | 5年目 | 10年目 | 15年目 | 20年目 |
再投資なしYOI | 3% | 5.3% | 10.6% | 21.2% | 42.7% |
再投資ありYOI | 3% | 5.8% | 13.3% | 30.4% | 69.6% |
結果は一目瞭然。再投資をすることで、莫大なリターンが生み出されるのですね。
これが再投資のチカラ、正確には配当成長と再投資が組み合わさった時のチカラです。もちろん、この2つの組み合わせが真のチカラを発揮するのは、10年以上の長期にわたって投資した時です。再投資なしとの比較表を見ても分かる通り、5年程度では配当再投資は真のチカラを発揮できません。配当成長株投資では、配当成長と再投資のシナジー効果を狙って長期投資を行うことになります。
配当成長株の例:ジャックス
ここまでの内容は、あくまでもシミュレーションの結果にすぎません。現実の株式に投資した時に、果たしてそんなにうまくいくのでしょうか?
ここでは検証のために、以前もブログで取り上げたジャックスについて、配当再投資をしていたらどうなったかを見てみましょう。
次の表が、ジャックスを2009年4月2日に終値1,045円(株式分割調整後)で100株購入し、配当を再投資し続けた際に実際に得られたであろうリターン(初期投資に対する利回り=YOI)です。再投資しなかった場合も、比較対象として示しています。なお、計算の簡単化のために、以下の仮定を置いています。
- 配当額は毎年度末に受け取る
- 再投資は翌年度の初営業日に終値で行う
- 税金は無視する(当時はありませんでしたが、現在はNISAがあるので妥当な仮定です)
ジャックス:再投資なしYOIと再投資ありYOIの比較
項目 | 1年目 | 5年目 | 10年目 | 14年目 |
年度 | 2009 | 2013 | 2018 | 2022 |
再投資なしYOI | 2.4% | 6.7% | 7.7% | 17.7% |
再投資ありYOI | 2.4% | 7.4% | 9.8% | 27.4% |
ジャックスに対して配当再投資をしていたら、YOIは2022年度に27.4%にもなっていたのです!もし配当を再投資していなかったら、17.7%ですから、やはり再投資によって配当金の増加速度が大きく上昇していることがわかります。
なお、表には載せていませんが、配当金累計リターンは142.2%。初期投資の1.4倍の金額を回収しています。配当に加えて値上がり益(株価1,045円→2022年度開始日 終値3,120円)も考慮したトータルリターンは340.8%。初期投資の3.4倍です。これだけ儲かればウハウハですね。
今回のブログでは、配当成長と配当再投資によって、投資のリターンが加速度的に大きくなることを示しました。繰り返しになりますが、この投資リターンの成長は長期で株を持つことで得られるもの。配当成長株投資は、バイ&ホールドの長期投資戦略であることに注意してください。
この長期で持つというのがなかなか難しいんですよね。暴落時に狼狽売りしない精神力が必要なように思います。私は、コロナショックやロシアのウクライナ侵攻時の暴落で狼狽売りしてしまった株があります…。
次回のブログでは、配当成長株として私が投資している銘柄についてさらっと紹介したいと思います。どの銘柄になるかは、お楽しみに!
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